こんにちは。この記事は、マザーズの日本のグロースSaaS企業の代表とも言えるfreee株式会社(フリー)についての分析を筆者が行いました。
サービス・業績及び株価やPSRについて調べましたので、フリーという会社を知りたい方や投資を検討している方が参考にしていただければ幸いです。
フリー(4478)について
フリー(4478)は、スモールビジネス向けクラウドERPサービス「freee」を提供している会社です。
2012年7月に設立された会社で、2019年12月にIPO(新規上場)をしました。
法人向け会計ソフト・人事労務ソフト・クレジットカード・福利厚生など経理・会計周りで多様なソフトを提供しております。
ちょうど先日の2021年3月10日、株式会社サイトビジットの株式取得に関するお知らせが発表されました。
こちらは電子契約サービス「NINJA SIGN」を提供しており、電子契約の領域にも進出する旨のM&Aとなります。
電子契約は弁護士ドットコム(6027)やDocuSign(DOCU)など競合プレイヤーが有名だね
電子契約の市場成長は凄まじいですが、レッドオーシャンなので新規事業でやるよりもM&Aでのスピードを選んだのかなと思いました
人事労務ソフトは未上場だけどSmartHRともバッティングするのかな
ともかく、それぞれのソフトで競合が変わる感じなのかな
フリーの個人向け経理ソフトは筆者も愛用のプロダクト
ちょっと業績とはあまり関係ないかもしれませんが、筆者もフリーの個人向けソフトの課金ユーザーです。
1ユーザーとしてサービスの感想を語れたらと思います。
急だねw
開業届作成サービスから入り、確定申告のためにフリーをこの前も使いました。
正直、確定申告めちゃくちゃ面倒くさいと思っていました・・・
収入と支出、それぞれ書いて整理するの超大変だと思っていました。
が、クレジットカードや銀行口座と連携することで一瞬で整理できて書き出してくれたので非常に助かりました。
一般的な機能は、そんなに技術的にすごいソフトでもないので変わらないと思うけど、サービスの導線やUXが非常に考えられていてこりゃ便利だなと思いました。
確定申告のためにe-Taxも使うのですが、そちらのUXが微妙すぎるというのもあり、freeeに勝手に感動していました。
フリー(4478)の業績と予想について
フリー(4478)について、2021年6月期の第二四半期決算資料から業績を確認していきます。
この時点でのARRは92.7億円とのことですが、直近ARRが100億円を突破したとのリリースが出ました。
日系企業の中では大型SaaSの部類です。
ARRは前年同期比で+49.9%ということで、これまた高いARR成長率となります。
KPIですが、有料課金ユーザー数は245,003(YonY+36.8%)、ARPUは37,849円(YonY+9.5%)とのことです。
解約率についても資料のAppendixに記載されていました。新規ユーザー数も解約率もわかるのは、ユニットエコノミクス計算ができるので非常に親切だと個人的に思います。
月じ解約率は前年同期比と変わらず1.6%とのことです。1%を切れば文句なしですが、十分な数値でしょう。
UI/UXの改善や既存機能の強化は、まさしく1ユーザーとして恩恵をうけています。。(感謝)
年間平均単価が3.5万円で月次解約率が1.6%とのことで、LTVはざっくり18万円となります。
この第二四半期時点での前年度よりも課金ユーザー企業は65,998社増えています。
広告宣伝費が不明だったので、LTV>CACはわかりませんが広義の販管費ベースでCACを出すと約12万円でした。なので、LTV>販管費ベースCACで擬似的に出すと1.5ということで、ユニットエコノミクスが成立しています。
経常利益ベースではずっと赤字だけど、SaaSだし回収可能と見て投資しているんだね
フリー(4478)は割高?上場SaaS企業と比較
ここまで、フリーのサービスや業績について
その指標や予想について、他の上場SaaS企業と比較してみました。
今回対象としたのは、同じくSaaSのHENNGE(4475)と、SaaSではないもののサブスクリプション的要素の強いウェルスナビ(7342)です。
ウェルスナビを比較に選んだのは、PSRが近いため選出しました。
HENNGEを選んだ理由は、解約率が優秀という点で比較できるかなと考えたためです。
フリーとウェルスナビ、たまたまかもしれませんが20年度ベースのPSRおよび21年度ベースのPSRがともに近しいのです。
HENNGE(4475)のPSRは予想売上ベースで26倍ですが、売上成長率が16%と低いためこれぐらいなのかなと推察します。
一方でフリーは第二四半期時点で売上成長率49.9%、予想でも成長率40%ですし、なんなら売上成長率は40%を超えてくる可能性も十分あるかと思います。
この前のM&Aのリリースにも買いてあったけど、みなし取得日は期末だからM&A先のP/Lが連結に乗るのは2022年度からだね。
だから2021年度は既存事業だけの売上成長率になる。
ウェルスナビにも共通しますが、売上成長率が40~50%とマザーズのSaaSの中ではかなり高い部類であること、および解約率も優秀でユニットエコノミクスもすごい点の2点が、事業的には評価されていると思います。
またそれに伴い機関投資家の買いが入り、需給がタイトになり今のような高いPSRが許容されると思います。
決算説明資料にも下記のスライドがありました。
特にすごいのは右のスライドで、「自社経営陣及び上場前から保有するVC/事業パートナーの保有分除く」比率です。
つまり、IPO後に新たに取得した株主の比率ですが、海外法人・海外機関投資家が87%とえらい高い割合を占めています。海外からも日本のポートフォリオとして魅力的ということが言えます。
浮動株率も調べたところ、3.1%ということで非常に低い数値でした。
個人的には、PSRは60倍ぐらいついてもおかしくないぐらい成長している銘柄です。
PSRが通気予想ベースで60倍だとすると、時価総額5,796億円で株価は11,731円となります。
逆にこれ以上上がるとちょっと流石に高いかな、とは思います。今後は売上成長率及び解約率が引き続き重要指標となるでしょう。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
圧倒的成長と既に高いARRから、マザーズの中でも上位の時価総額を持つfreee(4478)。
既にかなり市場から評価されている感じもありますが、今後も売上成長を続けて将来的にARR150億円や200億円に到達するのかどうか、注目していきたいです。
個人的には短期投資というよりかは、中長期で持っておきたい銘柄の1つかなと思います。
参考になれば幸いです。