「早くにセミリタイアをしたい」、「老後の資金を確保しておきたい」などと考え、投資に興味を持つようになった人も多いのではないでしょうか。
その中でも、ニュースなどでよく取り上げられ話題となる「仮想通貨」への投資を検討している人も少なくないでしょう。
そもそも仮想通貨とは何か、デメリットやリスクはないのか、投資対象として適切なのかなどについて解説していきます。
仮想通貨の基礎知識
「仮想通貨」とは、インターネット上で取引等が行える“お金のようなもの”です。
電子データのみで取引や管理が行われるため、500円硬貨や100ドル紙幣のように実物を手に取ることはできません。しかし、インターネット上では仮想通貨を実際のお金として使い商品を買うこともでき、他の通貨と売買するなどの取引を行うことも可能です。
日本円やアメリカドルのように、どこかの国や政府が発行・管理していない点も特徴の一つです。コンピューター上のネットワークで管理されており、いわば仮想通貨の取引を行っているすべての人が監視・管理をしているといえるでしょう
仮想通貨という呼ばれ方が一般的には普及していますが、日本の法律では「暗号資産」という言葉が使われています。どちらも意味や内容は変わりません。
「デジタル通貨」という表現もありますが、これは電子マネーなども含まれるため、デジタル通貨の中に仮想通貨(暗号資産)が含まれていると理解するとよいでしょう。
仮想通貨と聞くと「ビットコイン」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。他にもイーサリアムやリップルなど多くの種類が存在しています。
それぞれで開発目的や仕組み、役割なども異なるため、そのあたりも理解した上で投資対象として検討することが重要です。
仮想通貨は企業や個人でも発行できることから、今後も種類や携わる企業・人は増え続けていくと予想されています。
最近よくSNSとかで見るから興味持ったけど、あまり知らなかった!なるほどー
仮想通貨の投資スタイル
仮想通貨は、投資家の考え方や好みにより、異なったスタイルで投資することができます。
主に2つの投資スタイルに分けて説明していきます。
中長期投資
もし、今後さらに仮想通貨の認知度が上がり世界中で流通するようになると考えるのであれば、中長期で投資を行ってもよいかもしれません。株式投資やインデックス投資などと似た投資スタイルです。
暴騰・暴落などがあっても一喜一憂せずに、5年や10年、あるいはそれ以上の期間、仮想通貨を保有し続けることができれば、資産を何倍にも増やせる可能性があるでしょう。
実際に儲かるかどうかは世界の流れや保有する仮想通貨の種類などにもよりますが、中長期投資は一度保有したらしばらく放置しておけばよいため、比較的楽で簡単な投資スタイルといえます。
価格の上昇や下落で感情が揺さぶられやすい人にとってはメリットが感じられるでしょう。
短期トレード
仮想通貨は、FXのように短期で売買を繰り返して利益を上げることも可能です。安いときに買って高くなったら売るだけではなく、高いときに売って安くなったら買うという行為により資産を増やしていくこともできます。
株式取引は安く買って高く売るという形が基本となるため、仮想通貨の短期トレードは柔軟性が高く初心者でも始めやすいでしょう。ただし、短期トレードを行う場合には、テクニカル分析によりチャートを読み取る能力が必要となり、また、世界における仮想通貨関連の情報を常にキャッチしておく必要もあります。
初心者でも始めやすい反面、上級者や投資のプロでも大きな利益を上げるのがとても難しいスタイルとなります。
仮想通貨には将来性ない?ある?
投資は資産を築くためにするものなので、将来性の有無は仮想通貨へと投資するかどうかを決める際には、とても重要な要素となります。
仮想通貨の将来性ない・あるの判断は、簡単にはできません。仮想通貨全体で見れば、今後も種類は増え続け、利用できる店舗やサービスなども増えていくと考えられるため、発展していく余地は十分にあります。
しかし、例えば代表的な仮想通貨であるビットコインに将来性があるかといえば、そうとは断言できないでしょう。他にもっと利便性が高く多くの人が取引をするようになる仮想通貨が誕生するかもしれません。そうなれば、ビットコインやイーサリアムが価値を失うことも考えられるのです。
また、日本やアメリカなどの先進国が仮想通貨に対して強い規制をかける可能性も否定はできません。マネーロンダリングや詐欺などに使われることが多くなれば、各国は規制に乗り出すしかなくなるでしょう。
かけられる規制が強ければ強いほど、仮想通貨の価格は落ちると予想されます。自由度や流動性が損なわれるためです。もちろん、各国が積極的に仮想通貨を取引したり規制を緩和したりなどすれば、価格は上昇していくでしょう。
ただ、あまりにも規制を緩和すると日本円やアメリカドルのような法定通貨の価値が脅かされる可能性が高まるので、将来的には規制が強化される可能性の方が高いのかもしれません。
未来のことは誰にもわかりませんが、仮想通貨の将来性は明るいと断言できる人は少ないのではないでしょうか。投資をする際には、一時的な熱狂ではなく、世の中の動きや将来のことも考えた上で慎重に行う必要があります。
仮想通貨投資のメリット・デメリット
実際に仮想通貨へ投資した際の、メリットやデメリットを考えていきます。どちらもしっかりと頭に入れた上で、投資対象として選ぶかどうかを決めましょう。
仮想通貨投資のメリット
仮想通貨は値動きがとても激しいため、うまく売買できれば短期間で大きく稼ぐことが可能です。
株式投資は市場が開いているときのみ、FXは平日のみ取引が可能ですが、仮想通貨は24時間365日取引できます。急な暴騰や暴落にも対応しやすいでしょう。仮想通貨に関する情報を集める習慣が身につくため、株式投資をしているだけの人よりも豊富な知識を持つこともできます。
新しい仮想通貨の誕生などがあれば、誰よりも早く投資し、かつてのビットコインでたくさん稼いだ人のようになれるチャンスも出てくるかもしれません。
また、株式投資などと比べると少額で取引が始められ、取引方法によっては手数料が安く済ませられる点もメリットです。投資にかけられる資産が少ない人にとっては、手が出しやすく感じるでしょう。
仮想通貨投資のデメリット
値動きが激しいことはメリットばかりではありません。一瞬で大きな資産を失うリスクも仮想通貨にはあることを意味しています。
また、24時間365日取引できる点も、人によってはデメリットとなるでしょう。ついつい買ったり売ったりなどしたくなってしまい、投資というよりもギャンブルに近い取引をしてしまう可能性があるのです。
また、税金面でもデメリットがあります。国内の証券会社を利用した株式取引では、どんなに利益が出ても分離課税のため税率は20%程度で済みますが、仮想通貨は総合課税であり累進課税の対象となるため、稼げば稼ぐほど税率が上がってしまいます。
利益が出ていれば損をするわけではないものの、うまく投資ができたときほど損をした気分になってしまうでしょう。
仮想通貨投資はリスクが高い?
仮想通貨の概要や将来性などについて説明してきましたが、結局のところ、仮想通貨は選ぶべき投資対象となるのでしょうか。
結論を言ってしまうと、あまり積極的におすすめできる投資先とはいえません。将来性が必ずしもあるとはいえませんし、必ず儲かるとも言い切れないためです。むしろ損をしてしまうリスクの方が高いでしょう。
日本円やアメリカドルのような歴史を持っていないため、あるとき急にその価値を失うこともあるかもしれないのが仮想通貨を保有し続ける最大のリスクです。国や政府に依存していないからこそ価値の保証はされておらず、もしハッキングの被害などに遭っても、損失を補償してくれるとは限りません。
投資は自己責任といわれますが、仮想通貨投資は、株式投資以上に自己責任が求められる、とてもリスクの高い投資対象といえます。
投資は分散を意識すべきであり、間違っても仮想通貨へ全資産を投じることは避けた方がよいでしょう。
どのような投資先へどの程度の資金を投じているのか、保有する資産の組み合わせや比率を「ポートフォリオ」と呼びますが、もし仮想通貨へと投資をするのであれば、そのポートフォリオの一部に数%ほど加えておく程度がよいのではないでしょうか。
仮想通貨は、ビットコインのような有名なものでも、投資初心者が株式投資などの基本を勉強する前に、安易に手を出すべきものとはなりません。
情報がたくさん入ってくるからといって、よい投資商品であるとは限らない点は、しっかりと頭に入れた上で投資対象を決定する必要があります。
もし投資でリスクをあまり取りたくないのであれば、ポートフォリオの大部分を株式で占めることをおすすめします。国内・国外の株式やインデックスなどに分散しておけば、少なくとも仮想通貨よりも安全に資産を増やすことへとつながるでしょう。
将来どうなるかはわからないけど、儲かった時の税金もまだ高いからリターンよりもリスクの方が大きそうだね
仮想通貨よりも安全な投資先は株式投資
よくも悪くも話題性が尽きることのない仮想通貨ですが、デメリットも非常に多く、投資初心者にとってはリスクがメリットを上回ってしまうでしょう。
株式や債券などさまざまな投資対象の中で比較すると、仮想通貨はとてもリスクの大きい投資先といえそうです。
ポートフォリオの基本は株式投資とし、余剰資金を仮想通貨へと投じた上で、もし稼げたらラッキーくらいの考えで投資するとよいかもしれません。